大規模数値計算向けコード開発を容易にするフレームワークとして、既存の研究である「FDPS」や「Formura」などの調査を行った。FDPSはC++のヘッダーライブラリとして実装された粒子系計算の一般的なフレームワークである。ユーザは力の計算のみを記述し、並列化、通信、相互作用粒子リストの構築などは自動的に行われる。FDPSでは、ホットスポットである力の計算をユーザが記述しなければならず、記述は大幅に省略化できるものの、データのフォーマットを変えるとコードを書き直さなければならない。Formuraは、独自の文法で偏微分方程式を記述すると、自動的にコードが生成されるフレームワークワークであり、こちらはFDPSと比して、よりDSLとしての性質が強い。Formuraはユーザが微分方程式を記述すればコードが出力される仕組みであり、我々が目指す形に近いが、現在は格子模型に特化している。我々は、「Formura」の分子動力学法版を作るべく、プロトタイプを試作し、その問題点の検討を行った。また、フレームワークの最終的な利用プラットフォームに想定している「富岳」のアーキテクチャの調査も併せて行った。分子動力学法コードのホットスポットである力の計算ルーチンを切り出して富岳のハードウェアシミュレータ上で性能評価を行い、現在の性能、及び「どのようなコードからどのようなアセンブリを出力すべきか」について知見を得た。本研究で得られた知見を活かし、本格的なフレームワーク開発のために科研費や民間資金の獲得の準備を行っている。大規模計算向けの教材として、スレッド並列、プロセス並列、SIMD化を学んで最終的にスパコンを使うことを目指す書籍を執筆中であり、近いうちの出版を目指している。
We investigated "FDPS" and "Formura" which are the existing frameworks for high-performance computing. We have developed a prototype for the framework to identify the issues. We investigated the microarchitecture of "Fugaku," which is the target platform of our framework. We evaluated the performance of our code on the hardware simulator and obtained insights about what kind of assembly should be generated. Based on the above insight, we are preparing to receive KAKENHI and private funds for full-scale framework development. As a teaching material for large-scale computation, I am writing a book that aims to use thread parallel, process parallel, SIMD, and finally use a supercomputer. We are preparing for the publication of the book.