情報技術および多様なデータの利活用を通じた取り組みへの関心が高まっている。ファイナンス分野も、そのような利活用への関心が高い分野の一つに挙げられる。ファイナンス分野における、従来の実証的な分析においては,年次および四半期毎に公表される企業の財務諸表や月次および日次の資産価格の時系列データ対象とした研究が行われているのに対し,近年,技術の進展に伴い,従来の分析手法では取り扱いが困難であった日中価格変動を対象とした高頻度データや,金融市場に関するテキストデータなどをはじめとしたオルタナティブデータなどと呼ばれるものも分析対象に含まれるようになってきた.これらを背景とし,本研究では,大規模,多様なデータを基に金融市場における資産価格評価を行うことを目的とした.
本研究では,多様なデータを分析対象とし,統計的手法および機械学習手法を通じ,企業活動と金融市場における資産価格形成の関連性について分析を行った.とりわけ,大規模データを活用した分析を通じ企業活動に関する情報が,資産価格に与える影響に焦点を当て分析を行った.具体的には,本研究においては,企業の研究開発などを含む事業活動に関する情報に焦点を当て,企業活動と金融市場における資産価格形成の関連性について分析を行った.分析においては、本研究では、大規模,多様なデータを取り扱うことから最先端の機械学習手法および計算機科学における手法を通じた分析を実施し,企業活動と資産価格形成の関連性について明らかにした.
本分析の成果の一部は,滋賀大学リスク研究センター・データサイエンス教育研究センター共催セミナーの招待講演(タイトル:情報技術の進展とファイナンス)にて報告を行った.同セミナーにおける講演を通じ,経済およびデータサイエンス分野における最先端にて活躍する研究者から有意義なフィードバックを得た。また,証券アナリストジャーナルや人工知能学会ビジネス・インフォマティクス研究会,Informs2019においても分析結果の一部について成果発表を実施した.
In finance, there is increasing interest in analysis through the use of information technology. In this study, we analyzed the relationship between corporate activities and the formation of asset prices in financial markets through statistical and machine learning methods, using a variety of data as analysis targets. In particular, this study focuses on the impact of corporate activity information on asset prices through analysis using large-scale data.
Specifically, in this study, we focused on information on business activities, including research and development of companies, and analyzed the relationship between business activities and asset price formation in financial markets. In this study, we conducted analysis using state-of-the-art machine learning methods and methods in computer science, which deal with large-scale and diverse data, and clarified the relationship between corporate activities and asset price formation.
Some of the results of this analysis were presented at the Securities Analysts Journal, the Japan Society for Artificial Intelligence Business Informatics, and Informs2019.
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