我々がすでに提案している"メタレベルシステムのデータ統合方式"を基礎として, 本研究では, 鉄道利用環境における移動履歴データに内在する状況•環境変化の"分析, 認識, 抽出"を行い, 状況•環境変化に応じて, 異種のデータベース群(ODデータ, 経路データ, および, 旅客分布ヒューリスティックス)を動的に統合し, 新たな価値を有する情報を生成する手法を設計•開発し, 旅客流動分析•可視化•情報配信を細粒度で実現する"旅客流動分析システム"の基本設計を行った。本システムは, 鉄道実空間において発生する事象, 現象としての旅客流動に自動的に反応し, 鉄道における旅客流動に関する情報に合致する運行情報を抽出, 合成し, 自動配信する。 新しい鉄道実空間と鉄道情報空間の間を連動する鉄道情報環境を実現する。この方式は, 時空間を対象とした多様な計量機能をメタレベルに設定することにより, 応用に応じた多様な時空間的計量を実現し, マルチデータベースシステムから適切な情報を検索•結合する。具体的には, 時間的な計量空間, および, 空間的な計量空間の設定, 更に, その機構における関連性の計量に要する文脈の定式化, および, 実現をおこなった。また, 提案方式はメタレべルシステムにおいて異種の計量システム群を統合することにより, それら計量システム固有の適用範囲を拡大する。
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