Mama to Baby とは、妊婦、夫、助産師の3者をICTネットワークでつなぎ、必要な情報共有ができるサービスである。夫婦は、本サービスを使うことによって相互作用が高まり、妊婦の満足いく出産が支援される。なぜ、本サービスが必要かというと、満足いく出産はその後の育児にも好影響を及ぼすためである。仮に、適切な支援を受けられず不安や緊張の強い妊婦は、出産にも悪影響を及ぼす。夫も妻の様子に驚き、その結果夫婦で緊張し悪循環となる。このような場合、彼らを支援する助産師の負担も増す。 
そこで、本論文で提案するのが「Mama to Baby」である。妊婦は、夫と助産師へ、自分の体調や胎児の様子を、専用のiPadアプリケーションを使って伝えることができる。夫は、その情報を専用のiPhoneアプリケーションで閲覧し、妻の妊娠の様子や胎児に対する知識を習得できる。助産師は、専用のiPadアプリケーションを使って、妊婦健診時にマイナートラブルと出産準備の様子を、妊婦に対面する前に簡単に情報収集ができる。その結果、妊婦は夫と助産師から必要な支援を受け取ることができる。 
主な情報入力は妊婦が行う。文字、写真、動画による情報入力がなされ、それらはクラウドネットワーク上のデータベースに蓄えられると推定した。一方、情報の出力は、閲覧する対象者に合わせて選定され、異なる3種類の形態で提示することができる。これらのデザイン及び実装の結果、妊婦は夫から具体的な支援を受けられ、夫婦の相互作用が高まる様子が観察された。そして、助産師は簡単に情報収集ができ、それを保健指導へ活かすことでサービス向上が期待できた。 
Mama to Baby は、夫婦関係を高めながら出産準備ができるサービスで、それは助産師支援にもつながる。本論文では、どのような過程で本サービスがデザインされ、開発に至ったのかを記述する。

修士学位論文. 2012年度メディアデザイン学 第221号