貸借対照表の貸方を如何に区分するかという問題は, 会計基準の設定に際して紆余曲折を要した問題であり, 更に亦, 現在においても決着を見ていない(そしてこれからも見ることのないであろう)問題である。
本稿では, 先ずFASBとIASBにてこれまで為された議論をごく簡単に整理する。そして, この問題の紆余曲折の原因を探る。そしてその原因の一端を担っているのは, 会計に携わる者が少なからず持っているある種の「負債らしさ」や「資本らしさ」ではないかと考える。
一方, そうした「らしさ」を表現するのに, 使用している仕組は貸方二区分という仕組である。ところが, この貸方二区分という仕組は, そうした「らしさ」を表現するためのものではなく, 利益計算を行うための仕組であることを主張する。
最後に, 「らしさ」を表現しようとする情報開示の観点と, その表現のための仕組をもたらした利益計算の観点とが相克の関係になっており, その相克に折り合いがつかない限り, この議論の収束は極めて困難であると指摘する。
How the items entered in balance sheet's credit should be classified? Accounting standard setters : FASB and IASB for examples, have been discussing the problem for many years and haven't reached a compromise yet.
This paper arranges their discussions and points out the reason why the problem is complex.
We have some sort of prototypes of liability and equity in mind, but we can't express them perfectly on balance sheet as long as we calculate income with double entry bookkeeping.
This paper points it out that the conflict between expressing the prototypes and calculating income has made the problem complicated.
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