データサイエンス教育プログラムの開発のためには、中国で開発された小中高を通じたAI教科書が参考になるとの認識から、2020, 2021年度に続き小中版教科書『AI上智慧生活』の翻訳を依頼し、内容の検討を行った。この教科書には、スマートスピーカーやスマートゴミ箱など身近な電化製品にAIが組み込まれる構造と、その制御プログラムの簡易版を小中学生でもわかりやすく体験できるように書かれている。
コロナ禍が落ち着きを取り戻す中で、3年間の中で初めて先進的なデータサイエンス教育を行っている2つの高校の教育視察を行うことができた。1校は宝塚市にある私立雲雀丘学園高等学校で、「情報Ⅰ」や探究プロジェクトにおいて意欲的なデータサイエンス教育に取り組んでいた。もう1校は兵庫県立姫路西高等学校であり、視察を行ったSSHの成果発表会では、学習指導要領の内容をはるかに凌ぐ範囲まですべての生徒がきちんと理解し、それに基づいて研究発表が行われており、教育プログラムを開発する上で多くの示唆を得ることができた。
研究と並行して、西山は幼稚舎の情報教育において、馬場は湘南藤沢高等部6年生文系生徒向けの統計教育において、小森は同6年生の選択授業「データ科学」において様々な試みを展開した。特に「データ科学」では「第15回データビジネス創造コンテスト」および「第6回和歌山県データ利活用コンペティション」への参加を通じて実践的にデータを分析し、新たなビジネスモデルや施策の提案につなげる教育活動につなげた。結果として、前者のコンテストでは「高校生部門賞」を、後者では「NTT日本賞」を受賞することができた。
本研究の成果については、下記のワークショップでの発表のほか、日本統計協会が発行する月刊『統計』2023年3月号に「高校における統計・データサイエンス教育の最前線(9) ―小・中・高 一貫教育における統計教育の試み―」と題する寄稿の中でも紹介している。
For the development of the data science educational program, we investigated the translation of an AI textbook in China for primary and secondary students. Through this book, even elementary and junior high school students can easily experience the structure of AI embedded in familiar electrical appliances such as smart speakers, smart trash cans, and the simple version of the control program.
This time, we visited two high schools that offer advanced data science education. Especially, at the SSH results presentation at Himeji-Nishi High School, all the students seemed to have presented their research based on their understanding of higher-level statistical theories. We were able to obtain many indications for developing educational programs.
In parallel with the research, we have practiced various attempts in our statistics education. In the elective classes for the sixth graders at SFC high school, students studied data science practically through the application for two contests, in which they won awards. Komori and Baba reported the result of these studies at the 20th Methodology Workshop for Statistics and Data Science Education. In addition, we contributed the results to the March 2023 issue of the monthly magazine "Statistics."
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