本課題では, 2012年に福沢研究センターに非公開の扱いで松永家より寄贈された松永安左エ門の日記とその他の資料を公開するための基礎的な調査及び準備作業を進めることを目的とした。
①最大の目的は, 日記及び書簡等の寄贈資料を一括して全面的にデジタル化を行うことであった。デジタル化を行うことで資料の保全を図りながら, 今後研究会での共同での解読作業を進める準備が整うこととなる。ただし, 当資金で賄えた費用は, 全体のデジタル化に必要な費用の半額程度となったため, 当面調査研究の中心となる日記に絞ってデジタル化を行うこととした。これにより, 明治44年, 昭和5年, 昭和17年~43年に及ぶ日記のデジタル化が本年1月に完了し, 内容の解読及び検討を行う準備が完了した。今回デジタル化の対象とできなかった資料については, 今後他の資金等によってデジタル化を完了させる必要がある。
②日記のデジタル化に先立ち, 2012年の寄贈時に作成した資料仮目録の点検整備を行い, 寄贈資料の内容や年代, 形式等が一覧できるようにした。ただし, 目録も公開条件に基づき, 当面は非公開である。
③内容の解読及び調査研究を進めていくために, 研究会を立ち上げるための準備を開始した。具体的には松永安左エ門関係の研究者や関係資料・美術品を所蔵する博物館・美術館への協力依頼である。すでに先年来協力依頼を開始しており, 承諾を得始めており, デジタル化の進行により, 次年度には研究会の立ち上げを本格的に進めたい。今後, 実業家として, あるいは美術品収集家, 茶人などの側面からなど多面的な研究の視座から日記の内容検討を開始する所存である。
④なお, 本資料は, 現時点でも内容の精査を経て公開することを条件として保管している状況であり, 当面は非公開の扱いのままであるが, 内容検討の進行により順次公開していく予定である。
In this project, we digitized the diary of Yasuzaemon Matsunaga famous as a businessman who developed power generation business in Japan. He was also known as a master of the tea ceremony. Matsunaga's diary was donated under the condition of non-disclosure in 2012.
We are planning to set up a research group to decipher the text and examine the contents.
Since this diary is donated under the condition of non-disclosure, the research results will be made public as cautious review of content progresses.
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