アルキンの両端に不斉補助基として光学活性なイミド部位とスルホンを有する基質をジエノフィルとして設定し, ルイス酸触媒存在下フランとのDiels-Alder反応を試みた。フランは芳香族性によってジエン構造が著しく安定化されるため, これをジエンとして用いるDiels-Alder反応は例が少なく, アルキンとの不斉反応にまで至る例は皆無であった。そこで極めて電子不足なアルキンをジエノフィルとして用いたところ, 予想した通りDiels-Alder反応が効果的に促進され, 付加体であるオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン骨格を高収率にて得ることが出来た。続いて, 各種条件検討によって立体選択的にオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタジエン骨格を得るための条件を探索した。不斉補助基の検討においては, 天然のアミノ酸をそのまま用いたものよりも, 置換基を導入して立体障害を大きくした基質が良い選択性を与えることを見出した。ルイス酸としては塩化アルミニウムを加えることで反応性が大きく向上し, また溶媒としてはジエチルエーテルが最も良い結果を与えた。得られたオキサビシクロ[2.2.1]ヘプタジエンは数工程の化学変換にて文献既知物質へと誘導し, 旋光度の測定およびシフト試薬を共存させて核磁気共鳴測定を行うことで絶対立体化学の決定を行なった。今後の展開として想定していた, 高機能ポリマーの合成や三次元的ラベル化試薬の創成, さらには天然物の合成中間体としての応用に大きく近づくことが出来たと考えている。本研究成果は日本化学会第98春季年会において口頭発表を行う。
Diels-Alder reaction between a furan and a sulfonylated alkyne with imide unit was investigated. The electron-poor alkyne readily underwent Diels-Alder reaction to provide oxabicyclo [2.2.1] heptadiene skeleton in good yield. Non-natural amino acid was found good as the chiral auxiliary, and further reaction optimization afforded the skeleton in enantioseletive manner. The Diels-Alder adduct was converted to a known compound, and its absolute stereochemistry was unambiguously determined. It will be applied for synthesis of polymer, labeling reagent and natural compound. This achievement is presented in the 98th CSJ Annual Meeting.
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