ABLは, もともとアメリカ合衆国に起源を有する融資形態であるが, 日本でも, こうした融資手法(ABL担保取引)は, 在庫動産について流動(集合)動産譲渡担保を設定するとともに, 売掛金債権について流動(集合)債権譲渡担保を設定することにより行うことが可能である。
しかし, ABL担保取引がわが国に定着・普及をしていく上での障害となっているのが, 債務者が担保目的物, 特に流動動産たる在庫を投げ売りするなどの担保価値毀損行為に出ようとするときに, 担保権者が, 担保権実行をタイムリーに行い, 目的動産の担保価値の毀損を防ぐことができないという点と, 集合動産譲渡担保や集合動産譲渡担保の倒産手続における取り扱いが不透明であるという点であるといわれている。
そこで, 報告者は, 従来から, ABL担保取引の定着・発展を妨げている障害を取り除くための解釈論・立法論を展開してきた(たとえば, 中島弘雅「ABL在庫担保の実行手続に関する立法論について―近時の立法論の紹介と検討」NBL1070号, 同「包括的(集合)債権譲渡担保の倒産上の取扱い」伊藤眞ほか編『倒産法の実践』(有斐閣)など)。その一環として, 今回報告者が取り組んだのが, 集合動産譲渡担保の倒産(法)上の取り扱いに関する研究である。
報告者は, 本研究の結果, 集合動産譲渡担保の倒産手続上の取り扱いと集合債権譲渡担保の倒産手続上の取り扱い(これについては, 前稿「包括的(集合)債権譲渡担保の倒産上の取扱い」伊藤眞ほか編『倒産法の実践』(有斐閣)で検討した明らかにした)とは, できるだけ統一すべきであるとの基本的立場から, 倒産手続における集合動産譲渡担保のあるべき処遇を明確にする解釈論を展開するとともに, そうした解釈を可能にするための動産譲渡登記制度のあり方に関する立法論を論じた研究論文をほぼとりまとめた。ただし, 研究成果のとりまとめに予想外の時間を要したため, 当初, 掲載を予定していた高橋宏志東京大学名誉教授の古稀記念論文集『民事訴訟法の理論』(有斐閣, 2018年2月刊行)には, 本論文を掲載することはかなわなかった(そのため, 同論文集には, 別の論文を寄稿した)。そこで, この研究論文は, 来年刊行予定の『多比羅誠先生喜寿祝賀論文集』に寄稿する予定である。
Asset-based lending (ABL) originated in the USA is a significant financial scheme, and has only recently become in japan.
In Japan ABL can be formed by making use of "Umlaufvermoegenssicherung".
But this financial scheme had hardly be used and taken a firm hold in japan.
The reason was that a treatment of "Umlaufvermoegenssicherung" in Insolvency Procedure was unpredictabje.
This my study is a attempt for investigation into the reason and revitalization of ABL scheme in japan by resolving the central issue.
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