景気予測は様々な方法により行われている。しかし、その予測は不確実性の高いものである。
その不確実性の高い経済予測は何らかの傾向があるのではないだろうか。景気予測における予測のされ方について正しい知識があれば、その予測の活用方法もさらに有益なものになるのではないかという問題意識のもと、本論文において研究した。
本論文においては景気予測のうちGDP成長率に着目し、EPSフォーキャスト調査をデータとして抽出した。フォーキャスト調査はその年度のGDP成長率を毎月予測している。そのため、毎月の予測を横軸にその年度GDP成長率の実績との距離、縦軸を各月の予測者の予測の分散を表示し、毎年度の予測の推移を分析した。
分析結果では大きく分けて以下の予測パターンがあることが判明した。
① 予測は実績をオーバーして終了する。
② 予測の多くはプラス（楽観的予測）から始まる。
③ 予測の分散は次第に小さくなるわけではない。
④ 景気の転換点の認識は1年度
⑤ 景気の底の予測は比較的可能
このパターンを説明するために行動経済学、特にプロスペクト理論を活用した。
この理論によると、損失回避性、過度の楽観性、群衆行動等、様々な事象がみられることが判明した。
予測のパターンに行動経済学の理論が適用可能であることが理解できていれば、予測をさらに有益に活用できるのではないかと考えられる。

修士学位論文. 2011年度経営学 第2654号