宮城県牡鹿郡女川町は宮城県東部に位置する小さな港街である。女川町は、2011年3月11日に発生した東日本大震災により甚大な被害であり、建物倒壊率では被災地域で最も高く、街の8割以上を損失するダメージを受けた。震災から約2年近くの月日が経ち、最低限の生活インフラの整備とがれき撤去が完了し、少しづつではあるが復興を始めている。しかしながら、被災以前から女川町が抱えていた産業衰退や少子高齢化などの問題は震災により更に顕在化している。
今回のような震災の被災地における地域復興のアプローチの一つとして、まちづくり会社による地域復興が考えられる。しかし本来、まちづくり会社は中心市街地活性化などの施策を行う団体が多いが、被災地におけるまちづくり会社の役割としては、自治体が実施しづらい地域外から収益を上げる業務や地域ブランド創出事業などを行い産業再生・雇用創出の施策を行なっていくべきであろう。また、被災地行政のサポート役として、あるいは公と民の間に入るコーディネーター役になることも必要であると考える。筆者は、第三者としてまちづくり会社の取り組みの検討と提案を行い実施に関わった。本論文では、まちづくり会社による被災地域復興への取り組みを検討と実施し、いくつかのまちづくり会社の共同作業を通じて、その活動について考察する。

修士学位論文. 2012年度メディアデザイン学 第247号