子どもは好奇心が強く, 新しい物を次々と発見し吸収していく力を持っている. また, 親や友人との会話や, 絵本などの物語を読む事により, 自分の世界を創造し始める. 子ども自身が想像した世界を表現するには「紙に絵を描く」「手で何かを作る(粘土や積み木等)」ということが今までの主な表現方法だった. しかし, 子どもが想像した世界を紙にアウトプットするだけでは, その後の創造の展開が望みにくいのではないだろうか. 子どもが今まで以上に創造したくなるコンテンツ, アプリケーションの開発を行う事によって, 子どもがアウトプットしたその先に, 今までは紙で終わっていた表現の続きを行う可能性が広がり, 子どもの表現力の幅は拡大していき, 作った物を誰かに伝えたくなり, 今まで以上に「表現すること」が楽しくなるのではないかと考えた. 本研究を行うにあたり, 筆者自身の作品と, NPO法人 CANVASとのワークショップを行った結果「イメージを伝えるには映像的表現が世界観を伝えるのによい」「子どもに手近な道具を与えると物語創作ができ、豊かな発想が発現する」という事が分かった. それを踏まえ, 参加型絵本「えまきもん!びっくりたまご之巻」プロジェクトに参加し、デジタルデバイスを用いた『参加型絵本の表現手法』は, 表現の現場を広げるために有効なのか観察を行った. 結果, 子どもは手身近な道具で物語創作ができ, 作品をデジタルで表現できるものがあると, 子どもの想像力は紙でアウトプットしたその後も物語の創造, 表現力がより広がり, 制作した物を誰かに伝えたくなり, 自らの想像を「表現する事が楽しくなる」という結果となった. このことから, 『参加型絵本表現の手法』は子どもにとって, 想像した世界を紙にアウトプットして終わりではなく, その後の創造の展開が望め, 表現の現場を広げるのに有効だということが分かった.
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