近年, 無線技術の向上により車をネットワークに繋げることで新しいサービス提供が可能となった. 例えば, レースイベントには車を運転するドライバー, 戦略を考えるピットクルーといった人々がいるが, この二者間で, 車の状態変化を把握し, レース戦略に活用するためのテレメトリーシステムの実現が可能となった. しかし, 現状では二者間を繋ぐシステム導入には多額の資金が必要となり, アマチュアモーターレースイベントではレース中にその二者間で情報の共有をすることは困難である. そこで, 本研究では, ネットワーク技術を用いることにより, アマチュアモーターレースイベントで再現可能な, 二者間のリアルタイム情報共有コミュニケーションを実現することが出来るネットワーク環境構築及び, その環境を活用したコミュニケーションの実現を目的とする. 本研究が提案するネットワーク環境では, ドライバーやピットクルーが持っている情報を即時共有を可能とする. 加えて, 共有する情報の収集にセンサーを用いることや車内及びピットルームに設置したPCで直接コミュニケーションをとることで, レース参加者の作業を軽減する. 本研究では提案するネットワーク環境構築にかかるコスト及び, その環境を活用したコミュニケーションの有効性を評価するために, 実際のアマチュアモーターレースイベントに参加したチームに本システムを利用してもらうことで評価実験を行った. 評価実験を行った結果, 本研究が提案するネットワーク環境を活用したコミュニケーションでは既存のコミュニケーション方法よりレース参加者の要求を満たしていることが明らかになった.
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