一般的な検索手法であるテキストベースの検索では着目ファイルがいかなる文脈に属しどのようなファイルと関連しているかを知るためには, ユーザが予め適切なキーワードを知っておく必要がある。また, テキストベースの検索システムを構築するためにはウェブ空間を全探索しインデックスを作成する必要があり, 膨大なストレージコストと演算コストを要する。 そこで本論文では, 自然言語を用いずにファイルをグループ化しファイル間の関係を記述するCatalogueとその自律分散管理システムについて述べる。 本研究ではまず, 自然言語によらない数値識別子で分類することで狭義の一貫性をもったグループを作成可能にする。 また, 有向グラフを用いてグループ内のファイルの関係を記述することで柔軟な関係表現を可能にする。 この関係表現をCatalogueと呼ぶ。さらに, Catalogueをファイルの実体と分離して作成・管理することで多様なCatalogueが生成可能となる。 そして, 着目ファイルとそのファイルを含むCatalogueの対応関係を管理することで全探索を回避して分類情報を検索可能にする。 最後に, あるファイルのプロパティを別ファイルとして保存しCatalogueで対応付けることで任意のユーザがプロパティを作成可能にする。 このように, Catalogueの汎用的なグラフ表現を用いてファイルの所有者や種類, 分野を問わず関連付けることが可能となる。 本研究では, 自律分散管理された有向グラフを用いて仮想ミュージアムやLive映像配信といったCatalogueを用いたアプリケーションが動作することを確認した。
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