本稿では, 設備資産の減損に関する主観のれん説の考え方を批判的に考察するが, その問題点として, ①資産評価基準の不統一, ②減損後の設備資産を改定された割引現在価値で評価することの理論的根拠の欠如, ③改定割引現在価値を取得時に持ち込んださいの事実との軋轢, ④期間配分された割引現在価値数値の有意味性の欠如, そして⑤減損の当期帰属性の根拠の欠如, という5点を取り上げる。
結論的には, 筆者は, FASBの処理方式が妥当であると考えているが, それに対しては, 米山[2003]が, ①収益力低下時においてのみならず, 収益力上昇時においても, 再投資(用途変更)があり得ること, および②収益力低下時において, 簿価の切り上げがあり得ること, という批判を展開している。そこで, この点につき, 筆者なりの考えを提示することとしたい。
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