筆者は, 現にある会計実践を合理的に説明する説明理論の構築を企図しているが, そのためには, そのある会計の実相を明らかにしなければならない。すなわち, このある会計というのは, けっして首尾一貫した存在ではなく, 経済性に規定された簡便法もあるし, さらには, いわゆる会計の政治化に起因する, 誤った処理方法も存在する。したがって, そうした簡便法の存在, あるいは誤った処理方法の存在を明確に認識すること, ひいては, その正則法や妥当な処理方法を想定しおくことが, 説明理論の構築にとり不可欠なのである。本稿は, そうした問題意識のもとに, 現行会計実践の実相の一端を明らかにすることとしたい。
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