消費者と生産者から成る経済主体がひとつの測度空間(T, Σ, μ)を形づくる経済を考える。消費者tの, 各消費xに対する選好を表現する実数値函数φ(t, x) に基づいて定義される正規非線形積分核f(t, y) とベクトルa が与えられたとき,
(P) {Minimize ∫T f(t, y(t))dμ
subject to ∫T y(t)dμ = a
をオーマン-ペルレスの変分問題と称する。
問題(P)に解が存在するならば, この解に対応する配分はパレート最適となる。
問題(P)の解の存在条件を調べるために
V (a) = inf {∫T f(t, y(t))dμ : ∫Ty(t)dμ = a }
とし, V (a) に対するフェンシェルの共役変換をS*(p), 第二共役変換をS(a)として, 次の条件を考える。
(a) a ∈ ∂S*(p) を満たすpが存在する。
(b–1) このp はdom S* の内点である。
(b–2) このp はdom S* の内点ではない。
(a), (b–1)の下においては問題(P)に解が存在し, パレート最適な均衡が存在する。しかし(a), (b–2)の組み合せの下では, 問題(P)の解や均衡の存在は保証されず, 「一般化された変分問題」と「擬似均衡」の存在が確認されるにとどまる。さらに条件(a)および(b–1, 2)が成り立つための, 経済的十分条件も究明される。
問題(P)の制約条件にあらわれる等号"="を不等号"≦"に変えた場合の存在証明にも, フェンシェルの共役変換と劣微分を活用する新しい方法を呈示する。
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