明代の道教文献を基軸として、以下のような研究活動を行った。
(1)明代の『道蔵』に収録される儀礼書の編纂過程の研究。道教の代表的な儀礼である天心正法に注目し、儀礼書の編纂過程を明らかにした。博士学位論文で検討したテーマであるが、その後に発表した研究成果をフィードバックして再検討を行った。そのことにより、明代の『道蔵』に収録されている儀礼書の編纂過程についてその一端を明らかにし、大まかな流れを示すことができた。その成果は「道教儀礼与中国社会」国際学術検討会（西南交通大学、オンライン開催）において「天心正法儀礼系統的形成与発展」という題目で発表した。
(2)明代の道教儀礼文献がその後どのように現代に至るまで発展したのかを調査した。『中国伝統科儀本彙編』などに収録される、近年のフィールドワークによって収集された清代から現代にかけての儀礼書の影印本と、『道蔵』所収の明代の道教儀礼書との比較対照を行った。
(3)ハーバード大学のイェンチン研究所図書館に所蔵される明代・清代の道教儀礼文献について調査・撮影を行った。特に『道蔵』に収録されていない文献を中心に調査を実施し、道士の法脈・道壇・抄本の作成された地点に注目して、現代に至る流通過程についても検討した。ただし、年度末に調査を開始したため、目録で確認した資料を全て閲覧することはできなかった。次年度にも継続して調査を行う予定である。
なお、新型コロナウイルスの流行により図書館や資料館の使用が制限されていたため、宮観志については予定通りに調査を実行できなかった。次年度以降の課題としたい。
My research has been conducted as below.
(1)Research on the process of the compilation of Daoist ritual manuals focused on Tianxin Zhengfa (The Correct Rites of Celestial Heart.) And the presentation at the "International Conference on Daoist Ritual and Chinese Society" entitled "The Process and Development of Ritual Manuals concerning The Correct Rites of Celestial Heart."
(2)Research on the development of Daoist ritual manuals after the publication of two Ming Daoist canons by a comparative study on Ming and after Qing materials.
(3)Research on the Daoist ritual manuals in the collection of the Harvard Yenching Library.