ナノファイバーはナノオーダーの直径や高い比表面積を有しており, ナノスケールであるがゆえに表面積が際立って大きくなる。その材料開発により, これまでにない機能性を有する新規材料が生まれ, 新たな応用用途へとつながることが期待される。将来的な応用用途の一例としては, 細胞培養足場などのバイオ分野などでの応用が期待されている。ナノファイバーの作製手法であるエレクトロスピニング法(ES法)は, 他のファイバー作製手法と比べて, 簡易にナノファイバーが作製できるという特長がある。過去における本研究成果により, ナノファイバーを合成する条件が最適化されてきた。そのES法でのファイバー紡糸における最適作製条件と合成における知見を利用し, 汎用性の高いポリビニルアルコール(PVA)を微細ファイバー化するプロセスに適用させ, PDMS(ポリジメチルシロキサン)材料表面にファイバーを選択的に付着できるかを検討した。これまでの研究により, PDMS基板にプラズマ処理, 特に酸素プラズマ処理により表面改質を施すことで, PVAナノファイバーの紡糸を可能にできている。しかし, プラズマ処理の条件が, PDMS基板へのナノファイバーの付着量に与える影響は明らかとなっていなかった。そこで本年度の研究では, PDMS母材表面に着目した。具体的には, プラズマ処理, 特に酸素プラズマ処理を実施したPDMS表面へ, あるいは金属板のプラズマ処理をした面へ, 最適化されたES 法により微細PVAファイバーの紡糸を試み, その付着挙動・付着特性を解析した。高電圧によるファイバーへの電荷残留の影響もみながら付着挙動の解析をすることを試みた。異なるガス種でプラズマ処理を施したPDMS基板を用いてPVAナノファイバーを紡糸した結果, 酸素プラズマ処理面へのナノファイバー付着量が最も小さいことがわかった。一方, 窒素プラズマ処理面への付着量は, 酸素プラズマ処理面の約1.4倍増加することがわかった。
The nanofiber patterning by the electrospinning (ES) method is important, for example, in the cell-culture patterning. Here, due to the high-specific surface area of the nanofibers, cells are expected to adhere to the nanofiber-coated area. Plasma treatment could realize the nanofiber patterning through the ES method on a polymer collector on which nanofibers could be located or could not be located by electrospinning. In this work, PVA (polyvinyl alcohol) nanofibers were successfully patterned onto a plasma-treated polydimethylsiloxane (PDMS) collector with its surface modified by oxygen plasma. The degree of the surface modification was found to change through the condition of the plasma treatment. It was found that the number of the nanofibers onto the plasma-treated surface could be improved by changing the plasma treatment condition.
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