本研究では、簡易脳波センサMindsetによって計測されるセンサ値「集中度」と「リラックス度」がともに高い状態へとユーザーを促すことを目的とした新しいニューロフィードバック手法として、光と色を用いた可視化手法を提案する。
特定の活動において高いパフォーマンスを上げている人間の生体反応について計測する研究は従来より行われてきたが、近年になって簡易脳波センサを用いてスポーツ選手など活動中の人間の脳波情報測定を行う研究が出てきた。中でも米NeuroSky社が開発販売する脳波センサMindsetを用いた研究では、同センサによって計測される「集中度」と「リラックス度」がともに高い人ほど、アーチェリーにおけるパフォーマンスが高いという結果が示された。また、脳波に着目した研究として、ニューロフィードバックの研究が従来より行われてきた。ニューロフィードバックとは、脳波をなにかしらの形で視覚化し当該の個人にフィードバックさせることによって、心理的な状態を向上させようとするものである。
これらの現状を踏まえ、本研究では、脳波センサMindsetで計測される「集中度」と「リラックス度」がともに高い状態をストレスレスコンセントレーションと呼び、ストレスレスコンセントレーションを促すことを目的とした新しい脳波の可視化手法を提案する。本研究では従来主流であった数値やグラフによる可視化とは異なり、光と色を用いた脳波の可視化手法を提案した。また、本提案に基づき設計・実装を行った照明デバイスfluolightを制作した。fluolightを用いた比較計測実験によって、本提案に期待される効果の評価を行った。

修士学位論文. 2010年度メディアデザイン学 第115号