Navinkoは街の随所に関心、注意を抱かせ、自転車で都市を探索的に走行することを人々に促すモバイルアプリケーションである。このアプリケーションは、ユーザーが共有する街の魅力的な場所や、近くを走るユーザーの位置情報をもとに、位置感覚を伴った音がユーザーの移動に応じて再生と変化を繰り返すことで、都市の魅力的な場所を探索するきっかけを提供する。本論文では、このサービスのデザインと評価について述べる。東京をはじめとした都市部には、その街の随所に魅力的な場所が隠れているが、これらの魅力に自分一人だけでそのすべてに気付くことは難しく、街の魅力的な場所を紹介するツールは様々存在するものの、自転車での移動に即したものであるとは言い難いのが現状である。そこでNavinkoでは、音の拡張現実感を活用したオーディオインターフェースの実装をスマートフォンに施し、自転車での走行に適したインターフェースを実現する。また、ユーザーが気になった場所をアプリケーションを用いてランドマークとして記録し、その場所の情報をウェブサーバに集約することで、都市の魅力的な場所を集めたデータベースを構築する。これらの位置情報や付近を走るユーザーの位置情報を取得し、先のオーディオインターフェースが音を関連づけ、ユーザーの移動に応じて音の再生と変化が繰り返されることで、ユーザーに探索的な走行を促すのである。本論文では、Navinkoの動作確認とNavinkoを使用することによって得られる経験を、ユーザーを対象に行ったフィールドスタディとその質的データ分析によって評価する。

修士学位論文. 2010年度メディアデザイン学 第77号