昨今の企業倒産や不祥事において体質を原因とする事象が目立っている。
企業体質の改善を図る動きが出てきているが, 企業体質の健全化を図るうえでそ方策はあまり明確化されていない。
従来の企業倒産に関する研究では, 企業体質が複雑でかつ抽象的なものあることから, 合理的な分析評価は困難とされてきた。
本研究では, 平成不況以降の倒産企業を対象に体質関する根本原因探求し, 本質的な問題点を検証すること目的としている。
また, 健全な企業体質の確立を検討し, 本研究の分析結果をもとにモデル構築を図った。
本研究における分析方法はKJ法, 根本原因分析, 多変量解析(数化Ⅲ類)の3手法である。 文献情報収集によるおよそ3,700枚のカードを作成し, KJ法により倒産要因を洗い出し, 根本原因分析により問題の所在を可視化することで明確にし, 多変量解析によって問題の傾向と本質を検証するという流れである。
本質的部分の形成に対する検証にあたっては, 社会心理学の観点を用いて行い, 人間の特性が企業体質の形成に関わりについて述べみる。
これらに基づき, 健全な企業体質による経営 モデル構築の検討にあたっては, 単に企業組織の内部関係者視点に限定せず, 顧客というステイクホルダーの視点を取り入れ, 多角的な視点に基づく企業経営全般を評価する仕組みとして評価的多様性を念頭においた概要となっている。
なお, モデルの有用性について分析検証必要があり, さらなる構築に向けた研究が必要であると考える。
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