Arduinoをはじめ個人が個人の手によって創造的な制作活動を行う, パーソナルファブリケーションという文化が流行している. これは,機械化・工業化が進行した世界から, 再び創造活動を人の手に取り戻そうとする, 極めて人間的な活動だと捉えることができる. なぜなら,これら活動は機械のもたらす効率さと便利さを損なってまで, その本質を人の手で享受しようとする行いだからである. 現在, これら活動は工作の領域に留まらず, もっと身近な食の領域にも入り始めている. 例えば,自身の手でキャラクターのお弁当を作り, Webに公開する「キャラ弁」といった文化がそれである. また, 追うようにしてコンピュータサイエンスの分野でも食の研究が盛んになっており, 食とデジタル, 特に拡張現実感や視覚情報を用いたインターフェース研究が進んでいる.
そこで本研究では, 食品を組み合わせて行う造形活動に着目し, 中でも菓子を材料とする「菓子組み」を取り上げてワークショップを行った. そして, ワークショップから得た知見をもとに, 菓子組み支援のシステムを開発することとし, 実際に菓子を組む際に必要となる効果や機能をシステムに持たせた. 評価のために行ったユーザスタディからもポジティブな感想を得ることが出来, 本システムの有用性が示すことが出来た.
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