本論文は、在宅医療の関係者間の情報共有の円滑化を実現するWebアプリケーションであるcocon Officeについて述べる。cocon Officeは、在宅医療に関わる医師、看護師、ヘルパー、ケアマネージャー、薬剤師などがWeb上でどこからでもケアの情報を閲覧することが出来、それぞれのサービスへと反映させていくことが出来る。
在宅医療において患者のケアに関する情報共有は難しいという現状がある。それぞれの職種はお互いに直接顔を見合わせることは殆ど無く、また患者と直接接する時間が少ない職種も存在するからである。結果として医療、介護従事者達が患者の状態を把握していないことから、サービスの質の低下に繋がってしまうことがある。
cocon Officeは患者のケア情報を蓄積し、患者宅に訪れること無く患者の状態を把握することを支援する。患者に直接ケアを行う医師、看護師、ヘルパーは、行ったケアの情報を在宅現場に置かれたインターネット端末であるcocon Homeに入力し、その情報はサーバーへと送信され、cocon Officeから閲覧出来るようにすることで情報の共有が行われる。またケアマネージャーや訪問薬剤師はcocon Office上で、ケアマネージャーはケアプランに、訪問薬剤師は服薬情報に、患者の現在の状况を反映させることが出来る。
本研究は、cocon Officeによって在宅医療に関わる職種が患者に関する情報に等しくアクセス出来ることにより、それぞれのサービスの質を高め、患者の望む理想的な在宅療養生活を実現させることが目的である。

修士学位論文. 2010年度メディアデザイン学 第87号