本論文で提案する『音手(おんず)』は, 観客の拍手を誘発する拍手生成機である.
盛り上がったライブや演奏会は, 演奏者や観客に充実感をあたえるものである.
そして, そのようなライブや演奏会は演奏者・観客の記憶に深く残るものであ.
その為にもライブ会場で演奏者は一方的にパフォーマンスをするだけではなく, 客を巻き込み一体となって会場を盛り上げようとする. それは, 一般的に一緒に歌ったり, 踊る, 拍手を促すといった行為である. 本研究ではその中でも, 拍手に着目した. なぜならば, 拍手は人間にとって非常に身近な行為であり, 一緒に歌う・踊るといった行為に比べると楽曲の先行知識を必要としないからである. 実際ライブでは, 演奏者は会場を盛り上げるために大きな身振りで拍手を誘導するが, 演奏者そういった行為を常にできるわけではない. そして,観客も能動的に拍手を行うことは稀である.
そこで演奏者が促さずとも観客の拍手を促す為に, 本研究では人の前腕部, 掌部の形状・柔らかさ・動きを模倣した装置『音手(おんず)』を制作した.そして, 制作した『音手』を実際にライブパフォーマンスで用い, 観客の行動を観察することで, 拍手を誘発させることができているか検証行う. 最後に制作した『音手』の課題点, 今後の展望を述べる.
|