「プラハ証券取引所」の事業基盤は，ハプスブルク帝国時代にズデーテン諸州チェコ領域へ進出したオーストリア・ドイツの大銀行に支えられた経済発展に遡る。だが，同取引所は，第一次・第二次両世界大戦を通して再開と閉鎖，その後の社会主義体制下における長年の閉鎖，そして1989年のビロード革命を経て，1992年，旧国家銀行の民営化によって成立した大銀行を中心に再建される。
本稿では，このような体制転換の過渡期における国有企業民営化によって市場経済体制の確立・発展の推進力となった資本市場において，「プラハ証券取引所」は如何なる事業活動を展開したのか，EU市場経済との関係強化の下で現在に至るまでのプロセスを検討対象としている。
以下の3点から構成される。
第1は，再建「プラハ証券取引所」の各組織の権限と職務を明らかにした後，取引所取引の運用・清算・情報などの各システムに言及する。そのうえで，再開された証券市場の事業活動の内容およびその動向について，各市場の特徴とその変化および取引システム方式，株価指数，証券取引高などを景気局面と関連づけて分析する。
第2は，リーマン・ショックを契機として世界的に波及した金融恐慌により順調に発展してきた「プラハ証券取引所」も，国際化への対応と電子証券取引化が焦眉の課題となる。「ウィーン証券取引所」傘下の子会社化を選択し，CEE証券取引所グループ（CEESEG）に参加する。この新たな環境下での，中・東欧証券取引所の再編成の実態，子会社化した「プラハ証券取引所」の経営組織およびその問題点などを検討する。
第3は，「プラハ証券取引所」が「ウィーン証券取引所」の子会社としてEU市場への適合するための前提条件，「連結財務諸表」作成への会計基準，「国際財務報告基準」IFRSへの調和化とチェコ会計基準との関係について考察する。
The business foundation of the Prague Stock Exchange dates back to economic development supported by the large Austrian and German banks that expanded into the Czech territory of the Zudeden states in the Hapsburg Empire.
However the Exchange was reopened and closed throughout the World War 1 and 2, followed by many years of closure under the socialist regime. After the 1989 Velvet Revolution, it was reconstructed by the old state-owned banks that were privatized.
What kind of business activities did the Prague Stock Exchange develop in the capital market, which was the driving force the establishment and development of the market economy system ?
In this paper, under the strengthening of relations with the EU market economy, the process up to the present is being considered.

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