今日, いわゆる満期保有目的の金融資産については, その損益の性質は受取利息として明確であるが, それに対して, 測定規約はきわめて多様であり, その混乱ぶりを見ると, そもそも, 満期保有目的金融資産なる概念が本当に存在しているのか, といった疑問すら湧出するのである。そこで, その統一的な測定規約を再構成する必要があると筆者は考えている。ここでは, 次の2点を検討する。
まず第1に, 売掛金・貸付金・割引債というみっつのカテゴリーにつき, 受取利息をめぐる不統一性を取り上げる。そして, 割引くということの意味を改めて俎上に載せることにより, アキュムレーション法(利息法)の妥当性を検討する。
そして第2に, 割引債等に関するアキュムレーション法については, 利息法のみならず, 定額法も認められているし, さらに投資社債については, 結果的な数値は利息法と同じになるが, その計算プロセスの異なるアキュムレーション法(以下, 「アキュムレーション法」と表記する)およびアモーチゼーション法も認められているので, これらとアキュムレーション法(利息法)との関係が, 問われなければならない。第2の論点のうち, 「アキュムレーション法」・アモーチゼーション法の位置づけの問題は, 次稿で取り上げるとして, 本稿では, 定額法の位置づけだけを再検討する。
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