今日, 意思決定有用性が, 会計の最高規範とみなされている。そのために, 他方で, 損益計算が会計の目的とされつつも, 投資家の意思決定にかかわる企業価値評価への役立ちが, 会計処理にも大きな影響力を持っている。その結果, 企業価値評価にかかわる事業資産・金融資産という資産分類が会計にも導入され, 事業資産の取得原価, 金融資産一般の時価評価が, 正当化されたりするのである。つまり, 企業価値評価が, 会計の目的に類した位置づけを与えられているのである。しかし, その場合には, 損益計算と企業価値評価との関係が, 問われなければならない。本稿では, 資本委託としての会計責任という視座から, こうした会計の機能を整理することとしたい。
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