これまでの会計構造論に関しては,特定の等式がいわば先験的に措定され,それに基づき一方的にいわゆる複式簿記機構が説明されるだけであった。しかし,会計学を1個の理論体系とみるかぎり,そうした会計構造論の,経験事象に対する説明能力,および会計構造論と会計学の他の領域との関係を問うことが必要であるが,本稿は,後者を検討している。すなわち,勘定分類論,内部報告機能と外部報告機能との統合,そして会計概念の限定(要件)としての二面性概念の三者を取上げ,それらの領域に会計構造論がどのようにかかわっているかを論じた。
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