本論文において,筆者は,日本ではまだ馴染みの薄いファシリティ・マネジメントについて,その業務内容やその業務を担当するファシリティ・マネージャーの役割を概観した後,日本でファシリティ・マネジメントが実際にどの程度知られているか,ファシリティ・マネージャーの役割としてはどのようなものが考えられているかについてアンケート調査を実施した。日本にファシリティ・マネジメントが紹介されてからまだ数年しか経っていないので,それに対する認知度は低いと考えられていたが,アンケートの結果よりそのことが明らかにされた。同時に,ファシリティ・マネジメントを実行する上での最大のネックが経営者の認識不足にあることも明らかになった。長期にわたってオフィスの改善を行い,人々に創造性を発揮してもらうためには,経営者の認識不足を解消し,仕事の仕方そのものの改善をもしていかねぼならない。そして,これを推進するのが今後のファシリティ・マネージャーの役割だと筆者は結論づけている。
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