日本のサービス産業(第3次産業)は,就業者ベースであれ,生産額ベースであれ,その比重が50%を超えてからすでにかなりの時間が経過している。そしてなお上昇が予想されている。この傾向は日本だけにあてはまるのではなく,経済発展を軸とすれば大部分の国に共通する現象である。しかし,いかにサービス産業の比重が上昇しようとも,「もの」の市場とサービス市場が本質的にちがうところがなければ,ことさらとりあげて説明する必要もない。逆に,両市場の間に基本的に異なる要素が存在するならば,これほどまでに大きなウェイトを占めるようになり,さらに拡大が予想されているサービス市場を取り上げ,その市場特性を明らかにし,その市場調整にかかわる限界を示すことが是非とも必要になって来る。すぐにも明らかにするが,サービス市場は「もの」の市場とは異なった特異な性質を持っている。そして,「もの」の市場とは異質の現象を引きおこす。これらについて明らかにし,市場における問題点を明確にするのがここでの目的である。といっても,サービス市場はきわめて多様なものから成立っている。それを一つ一つ取り上げてその性質を説明するのが目的ではない。あくまでも,「もの」の市場との対比において,サービス市場を取り上げるものである。同時に,社会に対するインパクトについてもふれるであろう。
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