2020年度は、平野・片山両者とも、慶應義塾大学において開催されている「高齢社会・人口減少社会に関する研究会」(責任者は、吉田克己北大名教授)に参加し、物権法を超えてより広い学識を深めた。同研究会では、「財産管理」班、「人」班、「居住・コミュニティ」班、「総論ユニット」のそれぞれの報告、国内外の招聘教授の講演と質疑応答を行った。ただし、2021年3月に予定されていた外国人教授の講演は、コロナウィルスの影響により中止になった。従前からの研究会の成果は、2021年2月に、吉田克己編『物権法の現代的課題と改正提案』(成文堂)総ページ数781頁として交換されている。これらの研究と並行して、平野・片山は下記の学術書や論文を公にしている。
平野は、物権法・担保物権法についての考える問題集、事例問題集を執筆するとともに、物権法の裏面ともいうべき不当利得法も含めて事務管理・不当利得・不法行為についての詳しい教科書を執筆している。2020年4月からは、コロナ禍のため、図書館もまともに使えない状況であり、日頃時間がなく刊行できなかった学生用の学習書を数冊出版した。また、『高齢者住宅私法(仮題)』(慶應義塾大学出版会)の執筆に力を入れ、2021年には、本書と共に『製造物責任における欠陥とその証明問題』(慶應義塾大学出版会)と共に出版の予定である。
片山は、まずは、物権法の分野において、これまでの「財産(物)」論の研究を踏まえて、「物権の目的及び内容」および「動産の付合、混和、加工」に関する立法提言を行うとともに、その周辺領域の問題として、預金債権の帰属に関する判例研究を行った。次いで、担保物権の分野に関して、フランス、ベルギー、ケベックにおける動産・債権担保法制をめぐる近時の法改正の動向を調査・研究するとともに、その基礎理論として、「担保価値維持義務論」に関する理論的な研究を深化させた。その成果は、「2017年フランス担保法改正準備草案に関する一考察」、「担保価値維持義務の3つの淵源」などとして公刊されている。
In 2020, both Hirano and Katayama participated in the "Study Group on Aging Society and Declining Population Society" held at Keio University (the person in charge is Professor Katsumi Yoshida, Hokkaido University), and went beyond the property law. Deepened a wide range of scholarship. At the study group, reports were given to each of the "property management" group, "people" group, "residential / community" group, and "general remarks unit", and lectures and questions and answers were given by invited professors from Japan and overseas. However, the lecture by a foreign professor scheduled for March 2021 was canceled due to the influence of the coronavirus. In February 2021, the results of the previous study group were exchanged for Katsumi Yoshida's "Modern Issues and Revision Proposals for the Property Rights Law" (Seibundo) with a total of 781 pages. In parallel with these studies, Hirano and Katayama have published the following academic books and treatises.
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