明治から昭和戦前期の教育と教育学における近代仏教の影響の大きさは知られてはいたものの、問題の複雑さもあって研究は進んでいなかった。本研究プロジェクトでは、ペスタロッチ研究者である福島政雄の教育学に対する浄土真宗の改革運動である浩々洞一派の影響を探ること、そして福島がその延長線上で国体論に吸収されていったその理由を探ることを目的とした。その結果、特に後者に関してはその鍵となる出来事が満洲建国大学教授への着任が重要な意味を持っていることを突き止めた。王道に基づく道義国家建設というイデオロギーに福島の真宗信仰と聖徳太子信仰が結びついたのである。コロナのため思うように研究会や資料調査を実施できなかったが、何回か研究会をオンラインで行い、専門家から貴重な話を伺うことができた。成果としては、2020年9月にオンライン開催された教育思想史学会でコロキウムを眞壁と山本が中心となって企画し研究成果の一部を発表した。また、眞壁はドイツの代表的教育学雑誌であるParagranaに眞壁が福島の教育学に関する論考を寄稿した。
Our research question is: what was the influences of the modern Buddhism upon the Pedagogy and educational practices before the WWII. Makabe investigated the materials of Masao Fukushima in his educational activities at the university of Kenkoku, which was founded in the puppet state Manchuria by imperial state Japan. We could reveal the reason why the peaceful educational Idea of Fukushima turned to colonialism as a result.