フランスの哲学者ジャック・デリダの1999–2000年度講義録『死刑[I]』の刊行(白水社, 2017年)を承けて(研究代表者が翻訳), デリダの思想を, また死刑存置論の全体を, あらためて考察しようというのが本研究のねらいである。
そのために, 2017年10月7日に「デリダと死刑を考える」と題したシンポジウムを開催した(10時半から18時過ぎまで)。会場は日吉キャンパス来往舎2階大会議室である。開催にあたっては, 資金上は「学事振興資金」に全面的に頼った。開催の実際にあたっては「教養研究センター」の「後援」を受けたほか(具体的にはポスター作成など学内を中心とした広報), 「アムネスティ・インターナショナル日本」「脱構築研究会」「白水社」の「協賛」を得た(ネット上をはじめとする広報にご協力いただいた)。
当日は70名ほどの聴衆に恵まれた。
登壇者は, 研究代表者(司会)のほか, 登壇順に, 石塚伸一(龍谷大学法学部教授), 鵜飼哲(一橋大学大学院言語社会研究科教授), 梅田孝太(上智大学ほか講師), 江島泰子(日本大学法学部教授), 郷原佳以(東京大学大学院総合文化研究科准教授), 福田真希(リール第2大学連携研究員), 増田一夫(東京大学大学院総合文化研究科教授)であった。登壇者は, おのおのの研究分野(刑法学, 法制史, フランス文学, ドイツ哲学, フランス哲学, フランス文学, ヨーロッパ地域文化研究, およびそれらの複合領域)から『死刑[I]』を読み, それぞれ30–60分程度の発表をおこなった。
多様な観点から, デリダによる「死刑存廃論の脱構築」の全体像を捉えなおすことができ, また, 死刑廃止論の今後に対する見通しと困難さとを確認することができた。
この重要な成果を広く世に問うためにも, このシンポジウムを出発点として, 同名(仮題)の論文集をまとめ, 刊行することにしている(白水社, 2018年(予定))。
We held a symposium entitled "Thinking Death Penalty with Derrida" on October the 7th 2017, with Kazumi Takakuwa (chair), Shinichi Ishizuka, Satoshi Ukai, Kouta Umeda, Yasuko Eshima, Kai Gouhara, Maki Fukuda and Kazuo Masuda.
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