本稿の目的は, 1980年代に発行された日本社会に対して影響力がある総合雑誌(『世界』, 『中央公論』, 『文藝春秋』)に掲載された中国について評論した記事に着目し, 日本の言論界が中国についてどの様に議論したのか, 当時の中国論はいかなる人々によってリードされていたのかを整理し, この時期の日本社会の中国認識の特徴を描き出そうとするものである。調査の結果, 雑誌毎に中国に対する関心度, 記事の傾向, 論調などの様々な面において明確な違いが存在していること, この三誌をリベラル, 中道的, 保守的の順にならべると, 一般に言われているとおり『世界』, 『中央公論』, 『文藝春秋』となることがわかった。
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