<目的>幼稚園・保育園から小学校への移行期に出現しやすい問題行動を予防し, 安定した発達を促すために, 就学前段階から実施できる幼小連携による発達支援プログラムを構築し, その効果を実証することを目的とした。<方法>(1)研究参加児 : 5名の発達障害のある幼児が研究に参加した。(2)教材 : これまで開発してきた発達支援プログラムをまとめて, 「包括的発達支援プログラム」として統合した。(3)支援手続き : (a)コミュニケーション発達支援, (b)社会スキル発達支援, (c)読み書き学習支援, (d)運動機能支援, (e)行動調整機能支援。特に, (a)(b)(c)に関しては, ICT教育の実現を目指して, コンピュータ支援プログラムとして実装し, それを用いた指導をおこなった。構築した発達支援を週1回大学で実施し, 家庭でも実施してもらった。それぞれの保護者には, 「家庭・園生活評価シート」に記録してもらうことで教育的ニーズを抽出し, 必要な支援を提供した。(4)計測方法 : 実際の行動(注意, コンプライアンス, 理解言語, 表出言語, 読み書き, 社会スキル, 自己制御)についてビデオ解析を用いて評価した。家庭内の行動は, 日常行動チェック用紙に記録してもらった。<結果>(1)小学校シミュレーション環境(友人と机を並べ学習を進める, 授業スケジュールを正面に視覚的に明確に示す, チャイム音によってスケジュールの移行を進める)が, 小学校生活で必要とされる, 姿勢保持, 学習持続などの適応行動の成立に有効であることが明らかになった。(2)読み書きスキル, コミュニケーション, 社会スキルが安定して出現するようになった。(3)保護者への聞き取りから, 高い満足度が得られた。<考察>小学校への適応を促すための基礎的な条件を明らかにすることができた。今後は, 小学校入学後のフォローアップとして, 保護者・本人からの聞き取りなどを行っていくことが課題である。
In this study, we examined the effect of preschool intervention program on the transition to school first grade. We developed the computer-based teaching program for promoting communication, social skills, reading and writing, motor coordination, and behavior regulation skills of children with developmental disabilities. The university staffs and family members systematically implemented this teaching programs. As result, all of five children acquired basic learning skills, social skills, and academic skills. The parents evaluated high satisfaction for the program. We are planing the follow-up study of school days for each child.
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