[研究の目的と意義] 
① 知識創造プロセスに関する新たな分析の「フレームワーク」の提示 
② 「プロフェッショナル組織における有効な知識創造プロセス」の一般化 
③ 銀行の法人取引にナレッジ・マネジメントを導入する際の具体的な施策・提案 
[研究のプロセス] 
プロフェッショナル組織における有効な知識創造プロセスについて、先行研究や理論研究を調査した上で、新たな分析の「フレームワーク」を提示し、仮説を構築する。 
次に、分析のフレームワークに基づき、具体的な企業の事例研究を行い、各社の共通項を取り上げることで一般化を試み、フレームワークの妥当性及び有効性について検証を行う。 
最後に、銀行の法人取引業務における課題を整理した上で、顧客理解に結びつく知識創造プロセスを組織的且つ、永続的に回していく上で必要となる具体的な施策や提案を行う。 
[主要な結論] 
理論研究や事例研究の結果、知識創造プロセスを継続的に回し、個人知・組織知の拡大による組織能力構築まで高めるためには、特に以下の点が重要であることが分かった。 
重要なポイント
① 知に方向性を与えるビジョン・価値観を組織全体で共有すること 
② 各プロセスが相互に補い合い強めあうことで、プロセス間のフィットを高めること 
③ 知の生産・共有・活用等をサポートする組織を設け、当該組織が知識創造プロセス全体の推進者としてリーダーシップを取ること 
④ 知の共有や活用を評価する仕組みや制度を設け、インセンティブで報いること 
すなわち、知識創造プロセスを継続的に回していく上で、プロセス全体としての「一貫性」及び、プロセス間の「整合性」の確保が不可欠であることが分かった。

修士学位論文. 2011年度経営学 第2692号