本研究では, 情報共有の手法に焦点を当て, 位置情報により人々を分類し, 限定された範囲で情報のやり取りが可能な共有掲示板システムを開発した. 共有掲示板システムを機能させるために情報の動機付け手法についても検討し, 情報の追加と共有を一貫して行う追加情報型サービスモデルを採用している. 既存の場所依存システムは情報が提示される範囲が広大であるため, 地図システム上に情報が溢れている. そのため, 情報を距離によって限定し, 情報共有環境を生成するという視点が欠けている. 本システムは, 場所依存でありながら, 距離によって情報を限定し, 位置情報に対応した情報共有環境を動的に生成する. また, 本論では人の徒歩圏内についての分析を行った. 不動産流通研究所の調査によると徒歩圏内は現在地から半径800m以内と定義できるが, 本研究では情報との接触範囲として領域を現在地から半径300m以内に限定して共有掲示板システムを作成している. 現在地から半径300m以内に共有掲示板が存在しなければ共有掲示板を生成し, 存在すれば最寄りの共有掲示板へユーザーを分類することで, 位置情報によって振り分けられた空間で, 場所に特化した情報をユーザー同士で共有することが可能である. 本システムの評価を行うことで, システムの有効性を示す.
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