2011年7月24日の地上デジタルテレビ放送への完全移行(被災3県を除く)に伴い、2012年以降、地上アナログテレビ放送に使用していた周波数帯域を利用する様々な新しい放送サービス(マルチメディア放送)のサービス開始が予定されている。これまでの放送サービスは、端末への蓄積を想定しない映像サービスが中心であった。マルチメディア放送では、新聞・雑誌、音楽、ゲームなど多様な情報・コンテンツを時間に縛られず楽しむことができる蓄積型サービスも予定されている。
2010年に改正された放送法において、インフラ層、プラットフォーム層において放送と通信の融合は進展した。しかし、コンテンツ層において、本稿執筆時点では、通信と放送の間には違いが存在する。その違いとは、放送におけるコンテンツ規制である。規制が存在するため、マルチメディア放送の蓄積型放送で、新聞・雑誌を始めとする情報コンテンツの配信サービスを提供できない可能性がある。
本論文では、AMIOフォーラムや、IPDCフォーラムの活動を通じて放送法のコンテンツ規制の課題を解決し、マルチメディア放送において、新聞・雑誌などの情報コンテンツを蓄積型放送で配信するための解決手法を検討した。
検討を進めた結果、第三者機関が明確な基準を策定・判断し、運用するモデルが適しているということが判明した。このモデルを解決手法として提案する。
関係者によるヒアリングを行った結果、本提案の第三者機関による解決手法は、実現可能性、実効性があるという結論に至った。

修士学位論文. 2011年度メディアデザイン学 第172号