本論文は妊婦の日常生活の情報の中から助産師にとって有用な情報だけを定期健診時に妊婦と助産師の間で共有することで、両者の信頼関係を深めるサービス「Prologue」について述べる。Prologueは妊婦が妊娠生活を積極的につけているマタニティダイアリーの仕組みを用いて日々の生活についての入力を行い、その中から助産師に生活指導において必要な情報のみを提供するサービスである。
　少子化現象で女性の出産に対する価値観が量から質へと変化し、助産師は出産におけるリスクを下げるためだけではなく、出産の満足度を高めるケアにも力を入れている。また、満足した出産が充実した育児にもつながることは広く専門家の間で認識されている。そこでPrologueは母子手帳やカルテでは扱いきれていない日常生活についての情報や、母子手帳やカルテに記録されているが分散されていて素早く確認できない情報を整理し、一つの情報として表示する。この仕組みによってPrologueは病院や診療所などの短い時間で行われる定期健診であっても、助産師が妊婦の生活をより深く理解することをサポートし、より細かい生活指導が行える環境を整えることができる。
　本論文では助産師、妊婦への民族誌調査を踏まえPrologueサービスの設計について言及する。また、助産師、妊婦から得た評価からPrologueサービスの有効性について考察する。

修士学位論文. 2011年度メディアデザイン学 第149号