情報化社会と称される現代では、インターネット利用者数の急増とともに、インターネット上で展開される様々なソーシャルメディアの数も急増している。情報発信手段としてのソーシャルメディアを手に入れた事によって、インターネット上に多くの情報が発信される様になった。今日発信される情報の多くは情報発信者と紐付けられた匿名性の低いものであり、情報発信者は自分が発信した情報に対して責任を負う必要がある。そのため、削除やアクセス制限などによる、発信した情報の適切な管理が必要となる。現状、情報管理を補助するツールには様々なものが存在している。しかしどれも、利用者が事前に入力した削除の時間等に従い動作するのみといった、静的な情報管理機能のみを提供しており、いくつかの問題には対処出来ない。
本研究では、ソーシャルメディア利用者の情報管理を動的に補助する環境を実現する。提案環境では情報が持つコンテキストのうち、ライフサイクルに着目する。情報が持つ有用性が失われる時間を提案環境が動的に推定し、その時間に情報を削除する。実装した情報管理環境の動作の精度を検証するために評価実験を行った。評価実験を行った結果、少人数の利用という限定的な状況下では高い精度を維持したまま動作する事が明らかになった。

修士学位論文. 2010年度メディアデザイン学 第104号