昭和48年はじめ頃から,我が国経済は,異常なまでの物価騰貴にみまわれたといわれる。そして,49年に至って,その物価騰貴がさらに激しくなるとともに,景気後退が並列して観察されたことから,スタグフレーションなる事態がさわがれている。一方,このような経済状態の前ぶれ,ないし,背後の主要な要因として,世界的規模の急激な需要増加が,ファクト・ファインディングとして指摘されている。前論文,及び前々論文は,かかる経済状態にもとづき,polypoly(急性売手多占を媒介とする売り惜しみ)negopsony(急性買手負占による買い急ぎ)の理論,及び実証的解明にあてられたといえよう。売り惜しみ,買い急ぎ,は,いうまでもなく在庫投資行動の介在によって具体化する。本試論は,この種の在庫投資に関する仮説の設定にあてられる。
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