年次報告書などの財務情報に, 環境報告書・CSR報告書・サステナビリティ報告書などの非財務情報を加味した統合報告書は, 企業経営の変化, 情報ニーズの多様化, 金融市場の短期志向と持続可能性への危機感などが背景となって, その必要性が益々増加している。企業の社会性の重要性, 統合思考の戦略的効果などから統合報告書は企業経営にとって有効なツールとしても期待されている。
IIRCの<IR>フレームワークの登場により, 今後は統一基準が生まれ, 比較可能性という非常に大きなメリットが, 投資家を始めとするステークホルダーにも生まれてくる。統合報告と統合報告書の明確な区別, 結合性(connectivity)と入口(entry point)重視の定義, 財務資本の提供者をprimaryとする想定ユーザー, 6つの資本, インプット-アウトプット-アウトカムというビジネスモデルなどを正しく理解し, 統合報告書を的確に企業経営に活かすことができれば, 長期の価値創造という統合報告<IR>の目的は十分に達成される。
|