本稿では経済発展と不平等の関係について，その関係は波形で表すことができ，かつ波形は経済が発展するに伴い下に凸の放物線上を推移することを提示した。2 者の関係を決定する要因として様々なものが論じられているが，その中でもクズネッツらと同様に産業構造による人口シフトが最も主要な要因であると考えた。そしてクズネッツの逆U 字カーブ後も新たな産業が起こることで再び不平等は上昇するとした。すなわち，経済発展と不平等の関係は逆U 字型とU字型を繋げた形で表される。また，これまでの実証研究では多くが国別横断面分析であり，時系列の変化を考慮してこなかった。しかし，産業構造が経済の外部環境の影響を受けて変化するならば時間を考慮しない実証分析は問題がある。同程度の経済水準からの上昇であっても，技術変化や貿易の影響を受け，不平等の変化は時代により異なる。よって，経済発展と不平等の関係を表す波形は推移すると考えた。以上を，パネル分析を用いて実証した。

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty
論文