『日本婦人論』(1885年)において福澤諭吉は,財産は人間社会における権力の源であり,西洋では婦人が自己の財産を持っている,従って,家庭内でも,外部との交際においても,他に依存しない生活をしている,と指摘した。自由を得るためには,経済的裏づけが不可欠であることを見抜いていたのである。だが,基本的人権の尊重を謳った新憲法成立から半世紀以上が過ぎたいまも,税法上,多くの女性が経済的に夫に従属しているのであり,この改善が見過ごされたままになっている。個人主義に基づいた新しい家族制度のあり方を模索し,それを促進す
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