1920年から1943年まで,慶應義塾大学経済学部で交通論を講じた増井幸雄の主著は,『交通経済総論』であったが,それは,交通機関の性質,発達と,その影響,交通機関の創設,営業(費用・交通量の増加確保の方法・賃率),国家の監督について論ずる。彼は,機械的動力を利用する交通機関の発達が,その国の交通の画期的改善をもたらし,国民経済の全分野を発展させたことに注目するが,その交通機関は,資本集中性,独占性,公共性,協同性,競争性などの特徴をもつ。彼は,このような交通機関の性質に鑑み,これをできるだけ「市場の理法」
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