原価は,普通いわれているように,製品やサービスにただちに集計されるべきではなく,なによりもまず「活動」にこそ集計されなければならない,とその対象を明らかにした前稿を承けて,原価の集計に関わる諸問題を検討する。すなわち,まず,「原価」は,なんらかの目的活動の「達成」に伴う経済価値犠牲額であり,目的の達成に本来関連のない価値犠牲額としての損失とは明確に区別されるべきこと,しかし,原価「計算」にあっては,質的に異常な経済価値犠牲額はとくにあらかじめこれを損失として除外することができるとしても,普通は,目的活動の「遂行」に伴う原価となる「はず」の経済価値犠牲額をひとまず集計し,のちに「達成」に関わらない価値犠牲分が除かれて真に原価が確定すること,このような原価の集計にさいしては,その対象たる活動が集計されるべき原価の範囲を画する選択基準となって,活動への入力たる諸原価財の数量がまず把握され,ついでこれにその価格を乗じて原価が算定されること,これは実態空間における投入経済的諸資源という本体に貨幣額による評価という光を当てこれをいわば会計空間に投影して原価という価値的な写体を得る写像行為であって,それゆえこの価格づけないしは評価の問題は,すぐれて会計の問題であり,そこに得られる原価数値の有用性を根本から左右する決定的な問題であること,などを論じる。
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