人間能力の限界は究極的には人間の記憶能力の制約による。従来の社会科学の理論の精緻化は,この人間能力の限界を前提として展開されてきた。現在情報革新に最も大きな影響を与えているものは,セソサー,光ファイバー,人工衛星,大型コンピュータの発展である。今後センサーの発達が情報革新を加速度的に促進するであろう。しかしこの情報革新は人間能力に代替するわけではなく,逆により高度の能力を要請するようになる。経営者が能力の限界によって制約されながら,環境激変の時代に将来を洞察し,対処策をたてゝいくためには,モノゴトの「変化の速度の差」について深く認識し,それをベースにして,目標,問題点,対処策の策定などを論理的に考える必要がある。特にその企業の長期の維持発展にとって何が最も重要な問題かを考える必要がある。しかし現在の情報革新は閾値を超えるような環境変化をたえずひきおこしているから,そのような努力をしても,経営者は必ずしも将来を的確に予測することはできない。予測が誤った場合,直ちに企業がその軌道修正をするためには,人々の挑戦意欲,やる気が不可欠であり,そのためには,組織の活性化,企業の活性化が最も有効な手段である。
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