慶應義塾における看護教育(以下, 慶應看護)は, 1918(大正7)年の慶應義塾大学医学部附属看護婦養成所設立に始まる。2018年に100周年を迎える中で, 本研究は, 実学としての慶應看護の歴史的編纂により, 看護医療の先導者たる学生の育成に向けた基礎資料とすることを目的とした。
①慶應看護百年史の作成
2017年度は, 慶應義塾出版会との会議を重ね, 記念誌の編纂を行った。
また, 先導的な活動や国際的な活動に関する資料を収集し, 未来に向けた慶應看護の可能性を探ることを目的に研究を行った。
慶應看護100年記念講演会として, 「第2回 : 慶應看護のいま, これから」と題し, 卒業生や教員による国際的な活動の講演を行った。
②映像化
これまで学事振興資金によりアーカイブしたものと, 卒業生や学生の活動をもとにした映像制作のために, 現在および未来へのメッセージを検討した。
特に大きな成果としては, 第二次世界大戦中から戦後における慶應義塾大学病院での看護医療に関わる体験を記録できたことにある。第二次世界大戦中から戦後の慶應看護に関しては, 当時の看護婦や教員であった卒業生による座談を行った。座談の中では, 戦火にある慶應義塾大学病院において, 看護婦の自分に向けて爆弾が落とされている最中であっても, 患者を担架に乗せて命がけで安全な場所に運ぶなど, 患者を守るために必死だったことが想起された。慶應看護は戦争という恐怖下でも, 患者中心の看護活動を実践してきたことが改めて伝えられた。90歳を超えた看護師たちからは, これらの経験を含め, 生命の尊さが語られた。
先人たちのインタビューでは, 慶應看護の問いに対し「気品の泉源」という言葉が発せられることが多かった。慶應義塾の教えは, 生涯の糧となり, 人生を豊かに歩む道標として刻まれた。また, 慶應看護教育の中でも, 互いに学び合い, 育まれてきたことが, 各々の言葉で表現された。
これらの内容は, 慶應看護100年記念式典に合わせ, 慶應義塾大学デジタルメディア・コンテンツ総合研究センターによるプロモーション映像として制作がなされた。
③今後の課題
重要な史実を次世代に引く継ぐために, 資料収集の中で見出された戦後直後の教育関連の資料などのアーカイブを引き続き行い, 慶應看護の真髄を探る。
Nursing education of Keio University marks the 100th anniversary in 2018.
We aimed to learn from history of Nursin in Keio Unibersity. By this, we will make use of the future development of nursing education of Keio.
The most important discovery, the seniors have practiced the importance of life and patient-centered nursing activities under the fear of war. It was reported that the teachings of the Keio University were the significant didactic of our life.
This year, we compiled a book that summarizes the history of 100 years. And we held a commemorative lecture and created a film.
|