1)音楽・動画・書籍などで, 公式非公式問わず無料で提供される例が増えている。非公式は海賊版である。ただ公式でも無料提供する例があることは, 無料で提供するフリーミアム型のビジネスが成立する可能性を示唆している。そこで, 無料で提供される財を享受したユーザが有料の財の購入を増やすか減らすかをアンケート調査で検証した。結果は音楽では公式の無料配信は売上を増やし, 動画・音楽での非公式の無料配信(海賊版)は売上を減らしていた。音楽の公式の無料配信で売り上げが増えたのは財の質を変えるなど企業側が戦略的な行動をとったためと考えられる。
2)音楽についてファイル共有ソフトを使う前後で正規版の購入が増えるか減るかを実証した。同じ個人について時期を離して質問することでパネルデータ化できる。その結果, ファイル共有ソフトを使い始めると正規版の購入がむしろ増えることがわかった。
1) Considering their complementary and substitution effects, we discuss the impact of official and informal free goods on the consumption of paid goods in three creative industries in Japan. We employ an instrumental variables method and a large questionnaire dataset. Official free goods have a significant positive effect on paid goods in the music industry, with an elasticity of 0.11, but no significant effect in the video and book industries. Informal (pirated) free goods have no significant effects in the book industry, but have a significant negative effect in the music and video industries, with elasticities of -0.23 and -0.19, respectively